警備会社の駆付けシステムは住宅や店舗・事務所に泥棒が侵入した際、異常を検知したセキュリティシステムが警備会社に自動通知し、警備員が現場に駆け付けるシステム。そこにはあまり知られていないことがあります。

警備業法とは

日本の警備会社は「警備業法」という法律に則り運営されています。警備業法は警備業について必要な規制を定め、もって警備業務の実施を図ることを目的としています。この法律において「警備業務」と定義されているのは、1号業務~4号業務の4種類に分かれている。

1号業務:施設警備 2号業務:交通・雑踏警備 3号業務:貴重品等運搬警備 4号業務:身辺警備

と大きく分けられる。一般住宅や店舗・事務所の機器を使用したセキュリティは1号業務の「機械警備業務」に該当します。(第2条5)

警備員の駆付けに関すること

警備員の駆付けに関して、この法律では「即応体制の整備」という項目があり第43条に以下の様に記述があります。以下原文

「第43条:機械警備業者は、都道府県公安委員会規則で定める基準に従い、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに、現場における警備員による事実の確認その他の必要な措置が講じられるようにするため、必要な数の警備員、待機所(警備員の待機する施設をいう。以下同じ。)及び車両その他の装備を適正に配置しておかなければならない。」 

ここで「都道府県公安委員会規則」で定める基準に従いとあり、基準は各地域の公安委員会が定めているということだ。

駆付け時間に関する事項

駆付け時間の記述は警備業法ではなく、公安委員会規則を調べることになる。ここでは大阪府の公安委員会の規則「機械警備業者の即応体制の整備の基準等に関する規則 第1号第2条」を参考にした。以下原文

「機械警備業者が機械警備業務を行う場合の警備員、待機所及び車両その他の装備の配置は、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報(へき地等に所在し、かつ、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に近隣に居住する管理者に連絡して事実の確認をする等必要な措置を講ずることができると大阪府公安委員会が認めた警備業務対象施設に係るものを除く。)を受信した場合にその受信の時から25分以内に当該現場に警備員を到着させることができるように行わなければならない

大阪府以外の都道府県のほとんどでも警備員は25分以内に現場に駆け付けること、となっている。このことは一般的に知られていない。(※北海道は30分以内)

 

努力義務

また、その駆け付ける時間に関して第1号第3条には以下の様に記述がある。以下原文

「機械警備業者は、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合における警備員を当該現場に到着させるのに要する時間を短縮し、及び当該現場における警備員による事実の確認その他の措置がより効果的に講じられるようにするため、配置する警備員、待機所及び車両その他の装備を充実するように努めなければならない。」

25分以内に警備員が駆け付けることに関して、軽微な違反であれば改善指導、度重なる違反の場合は営業停止などの行政処分が行われることはあるが、刑事罰や過料などの法的制裁は受けない「努力義務」である。

警備員の駆付けは25分以内という規則がある

警備会社の契約者は「泥棒の侵入検知後に早く警備員に駆け付けてもらいたい、できれば捕まえてほしい」と希望するが、実際は警備員の現場到着は25分以内であればよいということだ。

泥棒の犯行時間は5分~10分であることが統計的に知られているが、この5分~10分の時間に警備員が駆けつけると泥棒と鉢合わせする危険性が大きくなることがわかる。

警備員の身を守る」という考え方からもこの25分という時間は必要であると感じた。警備員は現場を確認することが業務であり、泥棒と戦うことではない。もちろん駆付けることにより被害の拡大を最小限にするという効果は大きい。